心と思考

発展途上の自分を認める

アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、
なにか少しでも挑戦、変化、成長したことを、
お祝い、祝福をするという習慣があります。

『お祝い』

何年か前のわたしは、
この言葉は、とても受け入れられないものでした。

出来て当たり前。
出来ないことは、恥である。

という価値観で生きてきた、わたしにとっては、
この『お祝い』という行動に、
非常に強いブロックがありました。

アレクサンダー・テクニークでは、
なぜ『お祝い』をするのか、
『お祝い』を拒否したくなる理由も、
今回はお話をしていきます。

『お祝い』をする理由

アレクサンダー・テクニークでは、
身体の動かし方の習慣を顕在化し、
他の選択肢での動かし方を実験します。

長年の習慣の前では、
他の選択肢は、よっぽどの意志がないと、
成す術がないかもしれません。

象使い(意思)と象(習慣)

象使いと象で例えると、
像使い=新たな選択肢を行う意思
象が=習慣

ということになります。

身体の大きさでもわかるように、
象である習慣は、大きな力を持っています。

長年しみついた、身体の動かし方や思考の習慣に、
新たな視点や選択肢をもとに行動することは、
かなりの労力が必要なことが分かるでしょう。

象使いが、象にしてもらいたい行動があれば、
①象から信頼関係を得る
②象が、新たな指示を試す
③象が、どういう反応をしたのか見る
④行いたい行動へ、象と①~③を繰り返す

新たな選択肢を、
①試そうと決断したこと
②試したこと
③そこから何か感じたことを、フィードバックする
④新たな選択肢を行う実験、①~③を繰り返す

実験の過程を『お祝い』

ただ出来るようになるまで、
根性で繰り返すのではありません。

実験過程や経験を、
『お祝い』することによって、
新たな選択肢を受け入れる回路を、
強化していると解釈しています。

その選択肢への実験や挑戦をしたことに、
まず『お祝い』をする。

そうすれば、
たとえ意にそわない結果だとしても、
次はどのように行うか、新たな実験や挑戦を
行いやすくなります。

それがないと、
出来ない自分に、罰や叱責を
与えていくことになります。

そして、少しでも変化したら、
さらに『お祝い』をし、
変化を認めていくことで、
些細な変化にも気がつくようになります。

『お祝い』を受け入れられない方も
いらっしゃると思いますので、
受け入れられない理由も、
いくつかお話ししていきます。

『お祝い』を受け入れられない理由

①人からの評価が、自分をお祝いする基準

人からの評価が、自分のお祝いを許可する基準
になっている方は、
意外と多いのではないでしょうか?

例えば、
良い成績、良い学校、良い就職先、良い評価
など、世間で言われている『良い』
というものを得て、はじめて、
自分をお祝いをしても良いと
考えていませんか?

なにか達成、結果を出したことを、
人に評価、認められたから、
自分も自分のことを、お祝いする。

典型的な、他人軸になっている状況です。

②目標を達成したときのみ、お祝いをする

目標を達成するというのは、
とても素晴らしいことです。

例えば、
あなたがテストの成績で、
100点を必ず取るという目標を
立てていたとします。

100点は『良い』けれども、
99点以下は『悪い』。

テストを受けるまでにした努力は、
100点であっても、99点であっても、
同じものです。

それにも関わらず、
過程ではなく、結果のみを認める。

結果重視の社会で生きてきた我々は、
過程を認めず、結果を出せなかった自分を軽視する。
そんなことを、
ずっと繰り返してきたのではないでしょうか?

③失敗をしてはいけない

失敗をしてはいけないと強く思っていると、
新たな挑戦をすることはできません。

そして、そういう時は、
一度でうまくいかないといけないと
考えていると思います。

何をもって、成功と考えているのでしょうか?

そして一つの正解を求めて、
行動しているように思います。

実験、挑戦することも恐れていると思いますので、
新たな視点を取り入れることも、
お祝いすることもない状況です。


いかがでしょうか?
他の人が、上記のようなことをしていたら、
あなたは『お祝い』をすることも
多々あるのではないでしょうか?

あなたも、あなた自身に、
ぜひ『お祝い』をしてください。

まとめ

アレクサンダー・テクニークの
解剖学の知識、建設的な思考は、
選択肢の幅を広げる助けになります。

今までしてきた行動、思考も、
それまでの自分にとっては、
とても大切で必要な選択であり、
自らを助けてきたものであります。

そして、新たな選択肢を取り入れようとしているときに、
ぜひ『お祝い』をしてください。

きっと些細な成長、変化に、
気がついていくと思います。