心と思考

音楽家としての心構えが変わったこと ~アレクサンダー・テクニークと出会ってよかったことmov.1~ 

この記事を読むと、音楽家がアレクサンダー・テクニークを取り入れたことで、実際にどのような変化が起きるのかが分かります。

演奏家としての心構えが変わった

失敗すら受け入れられるようになった

失敗は成功のもと、なんて言いますが、
心からそう思えたことはありますか?

これまで私は

〝失敗しちゃいけない〟
〝必ず成功させなきゃ〟

と常に念じていました。

しかし今では失敗も成功も無い、
と思っています。
価値観がここまで変わる程の
変化をしたのです。

ではなぜ、
このような変化が起きたのでしょうか。

それは身体や心、
さらには、
いただいたご縁の中で自分の役割を担う、
ということはどのようなことなのか、
というようなことに至るまで、
アレクサンダー・テクニークを通じ、
学んだからです。

ちなみにこの変化を初めて感じたのは、
学びをスタートしてから
4年目のことでした。

感覚的なものでしたが、
腑に落ちる瞬間があり、震えました。

結果=自分の価値、ではない

成功したと感じたときは
問題ないかもしれませんが
失敗したと感じた時はどうでしょうか?

まず、失敗しても・成功しても
〝今日はそういう結果になった〟
と受け入れることが
今はできるようになりました。

失敗しても成功しても、
結果と自分を結びつけなくなった
のですね。

失敗も成功も、
どちらも【結果】です。

【結果】が出るには
必ず〝プロセス〟が存在します。

アレクサンダー・テクニークを使うと
まず〝プロセス〟が変わります。

すると
→【結果】が変わり
→【結果】にどう接するかが変わった

のです。

結果と自分の価値は、
イコールでは結べません。

結果と自分の価値は、
違う質のものだからです。

事実も含めて捉えられるようになった

失敗がなくなったわけではない

失敗がなくなったのかというと、
そういうわけではありません。

今でも、うまくいかなかった!
と思うことは、あります。

感情は湧いてくるもの。

そう思わないようにする、
ということは不可能なことです。

変わったのは、
失敗を受け入れられるようになったことです。

人の数だけある感想も全て主観

同じ曲を聴いても、
人の数だけの感想がありますね。

とても良かった!と思う人もいれば、
そう思わない人もいます。

そしてここには、自分も含まれます。
それも主観です。

そもそも
どれが失敗で、
何をもってして成功なのでしょうか。

失敗〝とされている〟ものも
ありますが
それだけではないはず。

そう思うと、
少し輪郭がぼやけてきませんか?

本番を楽しめるマインドへと変わる

自分の周りには誰がいるだろう?

『私、失敗しないので』
とどこかのドラマのワンフレーズを
舞台袖で唱えていた
過去もあるのですが(!)

今は
『共演者の皆さん、お客様と一緒にこの2時間を楽しもう!』
という想いで舞台袖にいます。

さらにステージマネージャーさんの
TOITOITOI!の声援や、
共演者の皆さんの存在、
それからお客様の雰囲気も、
この気持ちを高めてくれます。

そうすることで気持ちよく
ステージへ臨むことができています。

さらにその日の演奏会を開催するために
関わってくださった
ありとあらゆるチームの皆さんがいる。

どの分野の方がかけても
成立しないのです。

そういう全体のことに目を向けた時、
実は皆、
同じように責任を担っている
ということに気付きます。

全責任は負いたくても負えないもの

以前の〝成功させなくちゃ〟
と念じていた頃は

全責任を背負っている!

と思い込んでいたのですが、

それは信頼関係を築くことを
自ら手放している、
ということにもつながる、
と気づいたのです。

多くの方がそれぞれの責任を担って
存在しているのですから、
全責任は負いたくても負えないもの、
できないことなのです。

こんなにも多くの方が関わることで
今日この時間が成立している、
ということを知ると
感謝が湧いてきませんか?

そもそも失敗も成功もない

失敗や成功と定義しているのは【自分】

これは失敗、とかあれは成功、
などとその結果を『定義』しているのは
実は【自分】なのです。

演奏したもの=自分の価値
と捉えがち。

ここが分離できるようになると、
建設的になり、
次にも向かいやすいのです。

反省しているように見えても
実はただただ落ち込んでいるだけ…
だったりもします。

すると、
次へ向かうエネルギーは
そこからは出てきにくいのです。

ちなみに、
失敗すら受け入れられるようになると、
失敗した!という感情も減ってくるという
それはそれは
大きなおまけがついてきます。

自分がうまくいかなかった、
と感じていても、
すごくよかった!
と言ってもらえる時もあれば、
逆も然り。

人によって
失敗や成功の概念も違うのですよね。

持つ感想も全員違うのです。

まとめ

アレクサンダー・テクニークを
取り入れることで、
指揮のパフォーマンスが
変化しただけでなく、
視野が全体へと広がりました。

すると、心からの感謝が湧いてきて、
自分1人では何も出来ないのだと
実感できました。

そうすると、周りを信頼し、
頼ることもできるようになりました。

今では信頼し合う中で演奏をしたい、
そういう世界をつくりたい、
という願いに直結した動きができる幸せを
感じています。

アレクサンダー・テクニークは、
そういう願いを持つ方にとって
有効なものです。

なぜなら、
このように願う方向へ
自らを連れて行くことが
できるからです。