身体

俗にいう指揮者筋・指揮筋とは?

指揮をしていて、
腕が痛かったり、やたらに疲れたりすることはありませんか?

わたし自身も、
長い間、痛くて辛かった時期があります。

アレクサンダー・テクニークを用いて、
腕の動かし方を、改善したら、
今は痛くなることはなくなりました。
(※アレクサンダー・テクニークは、
痛みを取る施術ではありませんが、
身体の使い方を変えることで、私は痛みがなくなりました。)

今回は、肘の筋肉について、お伝えしていきます。

前回の記事では、
肘の骨や関節、動きの方向性についてお話ししました。

指揮を始めたばかりの頃は、
たたきと共に、撥ね上げの練習を特に多くします。
撥ね上げの練習でつけた筋肉は、
一部の人たちからは、指揮者筋・指揮筋と呼ばれているようです。

最近、指揮者筋という名称を知ったのですが、
俗に言われている指揮筋とは、どんな筋肉なのかも、
解説していきます。

指揮の撥ね上げる動作とは?

指揮者のバイブルでもある、
斎藤秀雄先生が書かれた指揮法教程から引用します。

鋭く撥ね上げる動作の練習

1.下膊(かはく)を予備位置のところに置き
2.突然、瞬間的に下膊の筋肉に力を入れて硬直させ、その反動によっててを鋭く撥ねあげる。

この場合の力は、丁度肱の高さにある机の板の下に手を当てておき、急にそれを持ち上げようとするときの力に似ている。力の入れ方が突然であることが不可欠であり、これが出来ないと撥ね上げ際の動き出しの速度がおそく、鋭さに欠ける。又このとき手が一度下に振れるのも絶対に良くない。 

斎藤秀雄著 指揮法教程 14ページから引用

撥ね上げの練習は、
肘を曲げた状態で、
下膊、すなわち前腕を上にあげる動作をしてます。

前腕を上にあげる動作は、屈曲といいます。
そして、前腕の屈曲は、
肘関節(ちゅうかんせつ)がしています。

それでは、肘関節の屈曲は、
どの筋肉がしているのかを見ていきましょう。

肘関節の屈曲に作用する筋肉

肘関節の屈曲に作用する筋肉は、
上腕二頭筋(長頭、短頭)
上腕筋
腕橈骨筋
です。

この中でも、
上腕二頭筋が主な屈曲に作用する筋肉になります。

それ以外のサポートする筋肉は、
円回内筋
長掌筋
橈側手根屈筋
長橈側手根伸筋
短橈側手根伸筋
などがあります。

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右腕を前から見たところ

撥ね上げで使っている筋肉 腕橈骨筋

斎藤先生の本に、
下膊の筋肉に力を入れて硬直させとありました。
跳ね上げでは、
特に腕橈骨筋を鍛える練習をしていることになります。

腕橈骨筋は、
別名、ビール持ち上げ筋という異名があるくらい、
前腕の回内回外の中間位、
親指が上を向いているときに、
もっとも強く、肘関節の屈曲に働きます。

腕橈骨筋が、俗に指揮者筋といわれている筋肉です。

筋肉のはじまっているところ、起始は上腕骨
筋肉のとまっているところ、停止は橈骨です。

筋肉は、拮抗しながら動いているので、
屈曲をするには、
前腕を下にさげる動作をする
肘関節の伸展の筋肉も大切です。

屈曲と伸展

屈曲は、手が上にいく方向の動きです。
伸展は、手が下にいく方向の動きです。

筋肉は、収縮することで力を発揮するので、
その筋肉の事を主導筋と呼びます。
この時、その反対側の筋肉が伸長した状態となり、
この筋肉を拮抗筋と呼びます。

それでは、
肘関節の屈曲の拮抗筋にあたる
肘関節の伸展に作用する筋肉
をみていきましょう。

肘関節の伸展に作用する筋肉

肘関節の伸展に作用する筋肉は、
上腕三頭筋
肘筋(ちゅうきん)
です。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 786929.jpg

上腕三頭筋は、
上腕で最も大きな筋肉です。

上腕の力こぶがでない側を触ってみると、
伸ばしたときに筋肉が収縮していくことを、
感じやすいです。

わたしの撥ね上げ練習のあやまり

これまで、肘関節の屈曲伸展の筋肉を見てきました。
どちらの筋肉も大切だと分かったと思います。

どちらか側だけを、鍛えるのではなく、
両方あることを意識すると、
身体の負荷が軽減されます。

前腕骨と尺骨は、
蝶番関節で強く連携されていますので、
そのパワーも感じながら、
腕全体を動かす練習をしてみてください。

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練習していた当時は、
わたしは解剖学の知識を知りませんでした。

そのため、いくつかの不自然な動きを、
強化する練習を繰り返していました。

失敗例①

机の下においた手を、
上にあげる動作を、腕全体ではなく、
主に手首でしていました。
手首を小指側に曲げる動き、尺屈を
練習していたことになります。

腕を鍛えているつもりでも、
手首を鍛えていました。

失敗例②

力を入れたいために、
腕をあげようとするときに、
頭や背骨が丸まっていました。

体の軸からのサポートを考えず、
腕だけに目を向けていました。

そのため、手を上にあげようとすると、
頭が下にさがる、または頭が右にぶれる
何とも不思議なクセがついてしまいました。


せっかく練習しても、
不自然な動きをを繰りかえしたら、、、。
身体を痛めるし、泣きたくなりますよね。。。

知識のある方に、
お話しを聞いて練習をしてくださいね。

さいごに

指揮の動きに関与する、
肘関節の屈曲伸展に作用する筋肉を見てきました。

筋肉の場所や動く方向など、
認識を変えたときに、
あなたは身体からなにか感じましたか?

その感じたことこそが、とても大切です。

徐々にその感覚と、
実際の動きの齟齬がすくなくなっていきます。

そして、今回は肘関節という部分に特化しましたが、
指揮は身体全体でしています。

腕橈骨筋ばかりに興味をもつのではなく、
身体全体は連動していますので、
身体の軸、頭と背骨の関係性も意識してみてください。

この記事でお伝えしたことは、
アレクサンダー・テクニークで学びました。

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